風見鶏の独り言

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寿命を考える 腹八分のすすめ 儒教の教へ

日本は世界一の長寿国らしい。
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言い換えれば老人大国でもある。
 
とにかく老人が多い。
 
町中の道歩く人にも最近はとくに老人の姿がよく目につくようになった。
 
過日、京都の夜の繁華街で、ある老人にインタビューをしているテレビ番組で、”私は週に一度、こうやって行きつけの飲み屋にやってくる”と話す老人がいた。
 
訊くと85歳。背筋をピントのばし、矍鑠として宵闇に消えていったその老人に僕はある種羨望した。
 
とにかく元気な老人が多い。
 
走る人、泳ぐ人、筋トレする人、それなりに鍛えている。
 
”老境や 四片(よひら)を写す 水の底”
     自分の老いた姿を水の底でしょんぼりと確認する老人なんて今どきいないのかもしれない。
平均寿命(女性/男性) 2015~20年
●日本 87.5歳/81.3歳
●スペイン 86.1歳/80.6歳
●フランス 85.4歳/79.4歳
●イギリス 82.9歳/79.4歳
アメリカ 81.3歳/76.3歳
 さらに特筆すべきは、80歳まで生きた日本人女性は平均してさらに12年生きると予想されること。
アメリカは10年、イギリスは9.6年。
現代の日本。数字のうえでは豊かだが、人々は狭苦しい家に暮らし、満員電車に長々と揺られて通勤し、夜遅くまでの残業を強いられるうえ、休日は少なく、いまだに大勢の人が喫煙していて、因習的なヒエラルキー社会に従うよう大きな圧力をかけられている。
そのうえ、つねに大地震に見舞われるリスクがあり、国土の大半で火山が噴火するおそれもあり、季節によっては巨大台風や熱波の脅威にもさらされている。
北朝鮮が隣国であるという脅威は言わずもがなだ。それでも、日本人の平均寿命はどの国よりも長い。
日本の1人当たりの食料供給量(カロリーベース)がきわめて少ないことだ。
たとえば、欧米の先進諸国のフードバランスシートを見ると、アメリカであれ、スペインであれ、フランスであれ、ドイツであれ、ほぼすべての国の1日の食料供給量は1人当たり3400~4000キロカロリーであるのに対して、日本のそれは2700キロカロリーを下回り、欧米諸国と比べて約25%少ない。
なんでも「ほどほどの量を食べている」から。
この習慣は、日本語では4つの漢字で表現されている。それが「腹八分目」。
これは儒教の教えで、やはり中国からもたらされた考え方ではあるが、宴会好きで、食べ物をむだにしがちな中国の人たちとはちがい、日本人は「腹八分目」をしっかり実践しているというわけだ。
なにはともあれ、長寿はめでたい話ではあるが、寝たきりで生きながらえるのは勘弁してほしいもの。
多少、足腰は弱っても、京都の夜を飲み歩くあの老人のようになりたいものである。
たとえ残り少くなった人生でも残りの時間を謳歌したいものである。