風見鶏の独り言

日常の雑事を発信

海底熟成 極上の酒 北海道木古内町

瓶.PNG
こちらのボトル、表面に「フジツボ」などがびっしりとついています。
半年間、北海道周辺の海底に眠っていたものです。
「海底熟成」と呼ばれる取り組みで、中のお酒は口当たりがまろやかになるそうです。

「行くぞー!」(寒中みそぎ)
 マイナス3度。気合いを入れて、頭から水をかぶる若者たち。道南の木古内町で、
190年間続く「寒中みそぎ」です。
みそぎ.PNG
今年、特別にあるものが清められました。
町特産の日本酒「みそぎの舞」です。
「これから海底で沈める酒を清めていただいて、
無事1年後に引き上げることができるようにと」(本間一慶さん)
「酒を海底に沈め、熟成させる」。この構想を実現させようとしているのは、
札幌のススキノでバーを経営する本間一慶さんです。
「こちらはブランデーとか、バーボンウイスキーとか、いろんな種類を沈めているんですよ」
(本間一慶さん)
 棚にズラリと並んでいるのは、本間さんがつくった「海底熟成の酒」たち。
ボトルについたフジツボが、その証です。
「海外で1世紀以上前の沈没船から見つかった酒が、とてもおいしくなっていた」
…10年ほど前、そんな逸話を耳にした本間さんは「自分で作ってみよう」と思ったのです。
「やっぱり、お酒に携わるものとして、1度飲んでみたいなと。ただ、
1本1000万から1400万円くらいするので、なかなか買えないなと。
そこで、自分で沈めちゃえというのが始まりなんです」(本間一慶さん)
「従来の酒が海で寝かせることによって違う味に変化するというのが、一つ面白いところ」
(本間一慶さん)
 なぜ海は、酒を美味しくするのか?
酒の熟成を研究する慶応義塾大学の杉本昌弘特任教授です。
 「よくバーでバーテンダーが振るのは、水の塊が壊れて、水とアルコールが程よく均一に
混じるようになって、口当たりが滑らかになるんですね。
海の中に沈めておくと、ずっと振動が与えられるので、それと同じようなことが起きて、
長期熟成した時のような滑らかさを感じる」(慶應義塾大学先端生命科学研究所・杉本昌弘特任教授)
つまり、沈没船のウイスキーは、海の中で、絶えず振動が加わるため、酒の熟成が加速
する効果があるというのです。
先月27日の木古内町。船の上で網に覆われているのは、およそ300本の日本酒「みそぎの舞」
です。海水が入らないよう蜜蝋でコーティングします。
底.PNG
(撮影:北海道海洋熟成)
 ほの暗い海の底…。かすかに見えてきたのが、深さおよそ30メートルの海底に沈められた
酒の瓶です。
 
網に包まれた地元の日本酒「みそぎの舞」。潮で流されないよう、人工魚礁の両脇にロープで
固定されています。これから1年以上、津軽海峡の海底でゆっくり味を磨き上げます。
 「今回、潮の流れが速いので、ダイバーさんに海底にちゃんと固定してもらった。
ここから1年、ちゃんと熟成されるのを祈るばかりですね」
(本間一慶さん)
作業を見届けた木古内町長は…。
 「こういった挑戦というのは、町にとってすごくありがたいと思ってますので、
ワクワクしますね」(木古内町・鈴木慎也町長)